防災の観点から 鎌倉を知ろう
鎌倉ってこんなところ
鎌倉ってこんなところ

鎌倉市は、三方を山に囲まれ、南に相模湾を望んでいることから、斜面や谷、小山など起伏に富んだ地形です。歴史的な文化財が点在し、日本有数の観光地として名高い鎌倉ですが、この独特な地理的特徴ゆえの災害リスクが想定されます。
鎌倉市の地理的特徴
鎌倉市は鎌倉駅周辺や大船駅周辺等の街中部、山間部、南部の海岸部に分かれます。
鎌倉駅、大船駅 周辺(街中部) | 市外県外から鎌倉を訪れる際に、ターミナルとなるのが鎌倉駅及び大船駅となります。観光客だけでなく通勤・通学など普段から多くの乗降客が見込まれます。 |
山間部 | 鎌倉市内には小規模な丘陵地や山地が広がっています。「谷戸(やと)」と呼ばれる谷状の地形が多く、住宅地も谷戸に集中している場合があります。また道の狭い箇所が多いのも特徴です。 |
海岸部 | 南側は相模湾に面し、由比ヶ浜や七里ヶ浜などの観光地が点在しています。海岸沿いの国道134号線は交通量が多く慢性的な渋滞が発生します。海抜が低い地域が多く、津波や高潮のリスクがあります。 |
歴史的地形 | 鎌倉時代には切通しといって防御の目的で山を削るなどして、自然の地形が利用されました。その影響で、一部地域では狭い道路や急傾斜地が残っています。 |
鎌倉市の地理的状況で想定される災害

地震
鎌倉市では南海トラフ巨大地震や首都直下地震(都心南部直下地震、大正型関東地震ほか)など様々な地震による被害が想定されています。
鎌倉市における影響
津波 | 鎌倉市は相模湾に面しており、想定される最大規模の津波が発生した場合、数分から十数分で津波が到達する可能性があります。海岸沿いの地域は津波の浸水リスクが高く、市のハザードマップでは津波の想定浸水区域が示されており、一部地域では10m以上の津波が予測されています。 |
大きな揺れ | 鎌倉市周辺の地盤や地形により大きな揺れが想定されています。そのため古い建物や木造建築物、ブロック塀などは倒壊の危険性があります。 |
土砂災害 | 鎌倉市は山間部や急傾斜地が多いため、地震の揺れにより土砂崩れや崖崩れが発生するリスクが高いとされています。 |
富士山などの噴火
鎌倉市は直接的な火山の噴火リスクが高い地域ではありませんが、周辺にある複数の火山(富士山、箱根山など)が噴火した場合、降灰やその他の間接的な影響を受ける可能性があります。
富士山 | 鎌倉市の西方に位置する富士山は、噴火した場合に広範囲で影響を及ぼす可能性があります。主なリスクは降灰で風向きによっては鎌倉市にも火山灰が降ることが想定されます。 |
箱根山 | 鎌倉市の南西に位置する箱根山は、比較的活動が活発な火山です。箱根山での噴火による影響は主に降灰が想定されますが、規模によっては噴石や火砕流の被害も可能性があります。 |
噴火による影響
降灰 | 火山灰による健康被害、交通の混乱、生活インフラへの影響などが考えられます。 |
津波の可能性 | 伊豆大島や箱根山など海に近い火山が噴火し、大規模な地滑りや噴火による海底地形の変化が起きた場合、津波が発生する可能性も考えられます。 |
鎌倉の観光事情について
オーバーツーリズムによる防災上の課題

鎌倉市では、観光客が集中する「オーバーツーリズム」による課題が顕在化しており、防災の観点からも特有のリスクが生じると予想されます。
鎌倉市には国内外から多くの観光客が訪れます。特定の時間帯、場所、季節によって観光客が集中する現象が起こっており、これらをオーバーツーリズムと呼んでいます。
混雑により災害時に混乱が生じやすく、特に観光客は土地勘がないため、適切な避難行動が取りにくいことが予想されます。
鎌倉市では、快適な旅を楽しんでいただくために、時間と場所の分散化を目的とした早朝観光や、夕方から夜にかけての観光、徒歩による移動、日本遺産などの新しい観光テーマによる周遊の促進等を推奨しています。
避難経路の混雑 | 特に観光客が集中するエリア(鶴岡八幡宮エリア、長谷寺・鎌倉大仏エリアなど)では災害発生時に避難経路が混雑する可能性が高いとされ、狭い道路や路地が多い鎌倉では、有事の際の避難がスムーズに進まないリスクがあります。また、海岸部の観光スポット(由比ヶ浜、稲村ヶ崎、七里ヶ浜など)にも多くの観光客が集中するため、津波発生時の迅速な避難が困難になる恐れがあります。 |
交通機関の混乱 | 災害発生時には、観光客が鉄道やバスを利用して一斉に帰宅を試みるため、交通機関が混乱・停止する可能性が高まります。事前に各交通機関のサイトやアプリを確認できる準備をしておきましょう。 |
インフラの負荷 | 観光客の増加により、災害時の水や食料、トイレなどのインフラが不足するリスクが高まります。また、大船エリアを除くと大型商業施設が少なく、急な豪雨や強風などの天候変化に対応して一時的に退避できる施設が限られています。ハザードマップや避難場所の事前の確認、携帯できる手荷物での備えなどにより、いざというときに落ち着いて行動できるように準備しておきましょう。 |